結婚恋愛相談｜彼氏出会い
美人百花掲載記事
愛は正気を失わせ、時にして人を惑わします。
でも、その情熱を忘れられなく再び愛に狂います。
人間の本能か、理性以外のものかわかりませんが、
狂おしさを求め、その先に幸せがあると信じています。
出会い恋愛結婚とその悩ましい時間は一生続きますが、
どうしても手に入れたいと願います。
恋愛や結婚に悩ましい時、貴女の幸せとは、貴女の出会いとは、
あなたの恋愛や結婚は・・・。
対面のカウンセリング、セミナー、魂の浄化などありご相談ください。
ぜひ六本木ﾐｯﾄﾞﾀｳﾝ傍です、お待ち致します。
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アルべルコ乃木坂
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昔読んだ作品です。
檸檬 梶井基次郎
蓄音器を聴かせてもらいにわざわざ出かけて行っても、最初の二三小節で不意に立ち上がってしまいたくなる。何かが私を居堪 いたたま らずさせるのだ。それで始終私は街から街を浮浪し続けていた。 何故 なぜ だかその頃私は見すぼらしくて美しいものに強くひきつけられたのを覚えている。風景にしても壊れかかった街だとか、その街にしてもよそよそしい表通りよりもどこか親しみのある、汚い洗濯物が干してあったりがらくたが転がしてあったりむさくるしい部屋が覗 のぞ いていたりする裏通りが好きであった。
雨や風が蝕 むしば んでやがて土に帰ってしまう、と言ったような趣きのある街で、土塀 どべい が崩れていたり家並が傾きかかっていたり――勢いのいいのは植物だけで、時とするとびっくりさせるような向日葵 ひまわり があったりカンナが咲いていたりする。
時どき私はそんな路を歩きながら、ふと、そこが京都ではなくて京都から何百里も離れた仙台とか長崎とか――そのような市へ今自分が来ているのだ――という錯覚を起こそうと努める。私は、できることなら京都から逃げ出して誰一人知らないような市へ行ってしまいたかった。
第一に安静。がらんとした旅館の一室。清浄な蒲団 ふとん 。匂 にお いのいい蚊帳 かや と糊 のり のよくきいた浴衣 ゆかた 。そこで一月ほど何も思わず横になりたい。希 ねが わくはここがいつの間にかその市になっているのだったら。――錯覚がようやく成功しはじめると私はそれからそれへ想像の絵具を塗りつけてゆく。なんのことはない、私の錯覚と壊れかかった街との二重写しである。そして私はその中に現実の私自身を見失うのを楽しんだ。
